わたしがひとり暮らしをはじめたのは、20歳のころでした。当時わたしは自分の部屋の家具というものをほぼ持ち合わせていなかったため、ひとり暮らしのために家具を購入することになりました。
もちろんうきうきなわたくし。お目当ては、山本商店でございました。
山本商店というのは、下北沢にある中古和家具屋さんです。薄利多売のお店で、小田急線沿線の学校に通っていたわたくしはちょくちょくのぞきにいっては、かわいい家具たちが職人さんたちによって手直しされてゆくのをうっとりと見ていたものでした。
祖父の家で育ったわたしは和家具にかこまれて育ちました。そういったノスタルジーもあったのですが、なによりわたしが好きだったのは、古い和家具のデザインです。
特に、すりガラスの模様や、机のとってのかたち、いすの背のデザイン、ほりのすっきりしたデザインは、なんだか野暮ったさもあいまってかなりかわいらしいのです。
しかしながらそれらの家具の欠点とは・・・・・・。
なにはなくとも、でかい!
これです。
今に比べれば当時はまだマシだったのですが、本が多かったため、愚かなわたくしはなんと本棚を三つ購入しました(だって、かわいかったんだもん)。これが、敗因でした。
中古和家具の悪いところは、
①背が低い。
②奥行きがありすぎ。
③引き戸ではなくて、開き戸が多い。(しかもかわいいのに限って)
ということです。
ついでにその部屋にはシングルベッドと、実家で不要になったでかい家庭用テレビ、
実家で不要になっていた全身鏡(これまたでかい)も導入されることになっていました。
ちなみに借りた家は、六畳+廊下みたいなキッチン。入るわきゃない。しかも、当時研究者を目指していたわたしは、デスクトップのパソコンと、資料が置けるでかい机を買ってしまったのです。それがまた、ホント昔の社長が使うような、立派な机だったのですよ。サイドのほりもすてきで、とってもすっごくかわいくて、しかもパソコンの傍らに資料をどさっと置いても、全然余裕。
そんなわけで、部屋に人の座るスペースは皆無。ほぼ図書館としてしか利用されない場所となりました。
でもみんななぜかとても居心地が良かったらしく、やたらと泊まりに来ており、よく「おばあちゃんちみたい」と言われました。
その部屋には、諸事情で半年しか住んでいなかったのですが、狭くても自分の好きなものに囲まれて暮らすというのは、非常にたのしいものでした。日の当たる、せまーいすきまにたいいくずわりをして本を読むのは、至福のひと時だったなぁ・・・・・・。
今ではいい思い出です。
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